今回ご紹介するのは「誰かが足りない」(著:宮下奈都)です。
-----内容-----
予約を取ることも難しい、評判のレストラン『ハライ』。
10月31日午後6時に、たまたま一緒に店にいた客たちの、それぞれの物語。
認知症の症状が出始めた老婦人、ビデオを撮っていないと部屋の外に出られない青年、人の失敗の匂いを感じてしまう女性など、その悩みと前に進もうとする気持ちとを、丹念にすくいとっていく。
-----感想-----
物語は「予約1」から「予約6」までの6話で構成されています。
まず最初にプロローグがあって、レストラン「ハライ」で予約の時間少し前に来店した人の描写だけがあって、そこからそれぞれの物語が始まっていきます。
最初、第一話を読んだ時点では、淡々とした物語が続くのかなと思いました。
今まで読んだ宮下奈都さん作品と比べると少し心理描写を軽めにした印象でした。
二話目から、ラストは10月31日の午後6時にハライに行くという終わり方をしています。
それが六話目まで続きました。
日にちは明かされませんでしたが第一話も10月31日の午後6時にハライを予約したはずです。
10月31日の午後6時、同じ日の同じ時間、同じお店に居た人達それぞれに物語があり、それを描き出していくというのがこの作品の特徴です。
たしかに、外食でレストランに行けば同じ時間に他のお客さんが居るし、当然その人の後ろにはその人の物語が広がっているんだよなと思いました。
調べてみるとこの作品、2012年の本屋大賞第7位にランクインしています。
この時の大賞受賞作品は三浦しをんさんの「舟を編む」で、私はそちらが圧倒的に嬉しくて、宮下奈都さんのこの作品には注目していなかったです。
この時には既に本屋大賞のベストテンに入るくらい注目の作家さんになっていたんだなと思います。
ハライはトルコの言葉で「晴れ」という意味とのことです
古いレンガ造りの小さなレストランで、出てくる料理は美味しく、いつも満席で予約を取るのも困難な人気のお店です
描写から見て、わりとゆったりとした街並みの中にあるという印象を受けました。
「予約4」では、主人公が常にビデオカメラを構えているひきこもりの青年で、その異質さが印象的でした。
読んでいると、ビデオカメラのファインダー越しでないと人と話が出来ないというのが分かりました。
直接相手の顔を見ることが出来ないようです。
実の妹相手でもビデオカメラ越しでないと話せないのはまさに異様で、なぜそんなことになってしまったのかと思いました。
この青年もハライを予約するわけですが、さすがにレストランでまでビデオカメラを構えているのは不審じゃないかと本人が気にして悩んでいたのが面白かったです。
最後のエピローグで10月31日午後6時のハライの様子が語られますが、この青年もちらっと登場していました。
本人の悩みと、他のお客さんから見たこの青年の挙動のギャップが面白く、意外と他の人からは違う見え方をするんだなと思いました。
ハライで美味しい料理を食べて、明るい気持ちで帰路につき、その先の人生に進んでいってほしいと思います
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-----内容-----
予約を取ることも難しい、評判のレストラン『ハライ』。
10月31日午後6時に、たまたま一緒に店にいた客たちの、それぞれの物語。
認知症の症状が出始めた老婦人、ビデオを撮っていないと部屋の外に出られない青年、人の失敗の匂いを感じてしまう女性など、その悩みと前に進もうとする気持ちとを、丹念にすくいとっていく。
-----感想-----
物語は「予約1」から「予約6」までの6話で構成されています。
まず最初にプロローグがあって、レストラン「ハライ」で予約の時間少し前に来店した人の描写だけがあって、そこからそれぞれの物語が始まっていきます。
最初、第一話を読んだ時点では、淡々とした物語が続くのかなと思いました。
今まで読んだ宮下奈都さん作品と比べると少し心理描写を軽めにした印象でした。
二話目から、ラストは10月31日の午後6時にハライに行くという終わり方をしています。
それが六話目まで続きました。
日にちは明かされませんでしたが第一話も10月31日の午後6時にハライを予約したはずです。
10月31日の午後6時、同じ日の同じ時間、同じお店に居た人達それぞれに物語があり、それを描き出していくというのがこの作品の特徴です。
たしかに、外食でレストランに行けば同じ時間に他のお客さんが居るし、当然その人の後ろにはその人の物語が広がっているんだよなと思いました。
調べてみるとこの作品、2012年の本屋大賞第7位にランクインしています。
この時の大賞受賞作品は三浦しをんさんの「舟を編む」で、私はそちらが圧倒的に嬉しくて、宮下奈都さんのこの作品には注目していなかったです。
この時には既に本屋大賞のベストテンに入るくらい注目の作家さんになっていたんだなと思います。
ハライはトルコの言葉で「晴れ」という意味とのことです
古いレンガ造りの小さなレストランで、出てくる料理は美味しく、いつも満席で予約を取るのも困難な人気のお店です
描写から見て、わりとゆったりとした街並みの中にあるという印象を受けました。
「予約4」では、主人公が常にビデオカメラを構えているひきこもりの青年で、その異質さが印象的でした。
読んでいると、ビデオカメラのファインダー越しでないと人と話が出来ないというのが分かりました。
直接相手の顔を見ることが出来ないようです。
実の妹相手でもビデオカメラ越しでないと話せないのはまさに異様で、なぜそんなことになってしまったのかと思いました。
この青年もハライを予約するわけですが、さすがにレストランでまでビデオカメラを構えているのは不審じゃないかと本人が気にして悩んでいたのが面白かったです。
最後のエピローグで10月31日午後6時のハライの様子が語られますが、この青年もちらっと登場していました。
本人の悩みと、他のお客さんから見たこの青年の挙動のギャップが面白く、意外と他の人からは違う見え方をするんだなと思いました。
ハライで美味しい料理を食べて、明るい気持ちで帰路につき、その先の人生に進んでいってほしいと思います
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