今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第五回 謀略の城」です。
-----内容&感想-----
京都では大内義興(よしおき)、細川高国(たかくに)らの大軍勢が将軍足利義澄(よしずみ)の追放に成功していました。
先の将軍足利義稙(よしたね)は再び征夷大将軍に返り咲き、大きな功労のあった義興は左京大夫(さきょうのだいぶ)に任じられ、右京大夫(うきょうのだいぶ)の細川高国とともに事実上の連合政権を打ち立てます。
しかしその影では、尼子経久(つねひさ)と武田元繁が不穏な動きを見せ始めています。
義興が京都から動かない間に尼子と武田で手を結び、安芸の国を挟み撃ちにして奪ってしまおうとしています。
経久がまず備後(びんご)を落とすとし、その西にある安芸の攻略は元繁が行うと言います。
安芸を押さえるには毛利の郡山城を落とさねばならず、武田家には毛利家から芳姫が嫁いでいて病がちで床に臥せることが多く、毛利家からは幾度も見舞いの使節が来ているため、礼を出すという名目で郡山城に探りを入れようとしています。
京都の義興の館に尼子家重臣の亀井秀綱がやってきて、国元の出雲において京極家の残党が兵を上げ、一国を争う事態のため尼子経久が出雲に帰国したと言います。
重臣の内藤興盛(おきもり)が声を荒らげる中、義興は「よお分かった!」と言い、尼子経久の帰国を許します。
重臣の陶興房(すえおきふさ)がお屋形様が京都に居る間に何か始める気だ、留守を狙うのは京極ではなく経久本人だろうと言います。
秀綱の言葉が嘘と分かっていても平然とそれは一大事だ、行くがよいと言う義興は大物感に満ちていて、尼子経久役の緒形拳さんとともに大内義興役の細川俊之さんの大物感もかなり魅力があります。
松寿丸(しょうじゅまる)と杉の関係は徐々に良くなり始め、杉が重いものを運ぼうとしてバランスを崩しているのを見て心配していました。
重臣の井上元兼(もとかね)が納屋に様子を見に来ますが、落ち込んでいるのではと期待した杉が元気一杯なのを見てがっかりして帰っていきます。
杉はもし元兼がそんな素振りを少しも見せずに帰っていけば大した男だと思うものをと言い、さらに「いかに上手い嘘をつくかが男の価値にございまするぞ」と言います。
この場面は印象的で松寿丸もはっとしていました。
この場合の嘘はあるものをないと言ったりするような露骨な嘘とは違い、心の内を表に出さない気配の嘘だと思います。
芳姫の病気見舞いの返礼として武田の家臣団が郡山城を訪れます。
毛利家は尼子の不穏な動きに備えるために城の詳しい見取りを教えろと言われ、城が丸裸にされそうになります。
ここでも元兼が杉に嫌がらせをし、武田の家臣団との宴会に出るように言い杉は嫌々引き受けます。
宴会で杉は酒をつがず舞もせず歌も歌わずに座っているだけだと言い、武田の家臣団が激怒するのではとハラハラしましたが大島という男が杉を気に入ったと言い驚きました。
渡辺勝(すぐる)が松寿丸と杉の納屋を訪ねてきて杉に話があると言います。
すると松寿丸も勝に話があると言い、尼子と武田が裏で手を結んでいるような気がしてならないと言います。
この勘の鋭さには後の中国地方10ヶ国、120万石の大名毛利元就の片鱗を見ました。
勝も勘の良さに驚いていました。
そして勝が杉に話そうとしていたのも同じことで、尼子と武田が手を結び郡山城の備えを探りに来たに違いないと言います。
勝は杉に大島に取り入って手がかりを掴んでくれないかと言い杉も引き受けます。
松寿丸は自分にやらせてくれと言いますが勝に止められます。
松寿丸は戦に長け大内にも尼子にもその名を知られている勝に褒められたいと言っていて、勝も気持ちはよく分かったと言いますが子供の手に負えることではないため杉に頼みます。
杉は松寿丸に「明日はこの杉が二刻(4時間)ほど武田の侍集をもてなしましょうぞ。誰一人として、この杉のそばを離れられぬほど、面白おかしくもてなして、武田の部屋を空っぽにしてみせましょうぞ」と言います。
これを見て杉は松寿丸が武田の部屋に忍び込めるようにしてあげているのだと思いました。
松寿丸も杉の意図を察していました。
裏で尼子に通じている重臣の桂広澄(ひろずみ)は尼子と武田が手を結んだことを聞かされてはいないです。
広澄はそのことで悩み、相合(あいおう)に「不要の者と思われたかの」とぼやきます。
すると相合が「私、今初めて、桂様のお役に立てた気が致しまする。弱音を吐いてくださった。男に弱音を吐いてもらえぬ女子は、女子としての価値がござりませぬ」と言います。
ひぐらしの鳴く夕方に二人で縁側に座ってのこの場面は良いと思いました。
杉と毛利家の重臣達、そして武田家臣団の宴会が始まります。
松寿丸はその隙に武田の部屋に忍び込みます。
しかし大島が京都で手に入れた美しい小袖を持ってきているので杉に着せてあげると言い家来が部屋に戻ります。
杉の様子から松寿丸が部屋に忍び込んでいると察した勝はいざとなれば家来を斬るつもりで待ち伏せます。
松寿丸は間一髪隠れて見つからずに済み、さらに大島達が郡山城を探っている証拠の見取り図を見つけます。
松寿丸の大手柄に筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)は「お見事」と感心します。
勝は「されど松寿丸様、今後二度と一人で動いてはなりませぬ。武士の戦は一人ではできませぬ」と言っていて良い言葉だと思いました。
松寿丸も「すまぬ。二度とせぬ」と言い勝の思いを分かっていました。
三人が話す部屋にやってきた杉が「良かった」と言って松寿丸を抱き締め、心底心配していたのが分かりました。
広良は「囮の砦を本物の砦と見間違っているところも多々あり、この図面なら持ち帰られても問題ない。それなら武力の上で遥かに勝る武田方と今すぐに事を構えるのは得策ではない」と言い、松寿丸も納得し「そのとおりじゃ。よう分かった。されど、これ以上探られてはならぬ」と言います。
その様子を見て勝は頼もしそうに「仰せのとおりにござる。志道殿、松寿丸様はよき武将になられまするぞ」と言います。
今回は松寿丸が大活躍していてとてもワクワクしました。
杉は松寿丸にご褒美をあげるべきだと言い、「毛利の城を狙う武田の謀略を食い止めたお手柄に報い、今日を限りに土居からお出し致す!文句はございませぬな!」と言います。
この剣幕には広良も勝も圧倒されていました。
真っ二つに切られた絵図面を見た大島達は表立って抗議することもできず翌朝すぐに帰っていきました。
広良が「松寿丸様、厳島神社に赴き、神に御加護を賜った御礼を申し上げねばなりませぬぞ」と言います。
さらに杉にもご褒美をあげると言い、松寿丸とともにゆっくり参拝してくるように言います。
(画像はネットより)
松寿丸と杉は宮島の厳島神社に参拝します。
私は厳島神社が好きなのでこの場面はとても良かったです。
(画像はネットより)
松寿丸は長い間願っていて、杉が「何を、長いことお願いされました?私は、松寿丸様が一国の主になれますようにと、お願い致しました」と言うととても印象的なことを言います。
「杉殿、天下の主になろうと考えて、やっと一国の主になれるものじゃ。初めから、一国の主になろうと考えておっては、何にもなれぬ」
この子はとてつもない武将になるのではという思いが杉の胸に広がっていきました。
今回の最後、松寿丸は初めて杉のことを「杉殿」と呼んでいて尊重するようになったのが分かりました。
二人がついにお互いのことを尊重し合うようになったのを見て嬉しくなりました。
厳島神社から見た海に浮かぶ大鳥居、そして瀬戸内海が毛利元就の大活躍を表しているように見え、この先の物語がとても楽しみです
各回の感想記事
第一回 妻たちの言い分
第二回 若君ご乱心
第三回 城主失格
第四回 女の器量
-----内容&感想-----
京都では大内義興(よしおき)、細川高国(たかくに)らの大軍勢が将軍足利義澄(よしずみ)の追放に成功していました。
先の将軍足利義稙(よしたね)は再び征夷大将軍に返り咲き、大きな功労のあった義興は左京大夫(さきょうのだいぶ)に任じられ、右京大夫(うきょうのだいぶ)の細川高国とともに事実上の連合政権を打ち立てます。
しかしその影では、尼子経久(つねひさ)と武田元繁が不穏な動きを見せ始めています。
義興が京都から動かない間に尼子と武田で手を結び、安芸の国を挟み撃ちにして奪ってしまおうとしています。
経久がまず備後(びんご)を落とすとし、その西にある安芸の攻略は元繁が行うと言います。
安芸を押さえるには毛利の郡山城を落とさねばならず、武田家には毛利家から芳姫が嫁いでいて病がちで床に臥せることが多く、毛利家からは幾度も見舞いの使節が来ているため、礼を出すという名目で郡山城に探りを入れようとしています。
京都の義興の館に尼子家重臣の亀井秀綱がやってきて、国元の出雲において京極家の残党が兵を上げ、一国を争う事態のため尼子経久が出雲に帰国したと言います。
重臣の内藤興盛(おきもり)が声を荒らげる中、義興は「よお分かった!」と言い、尼子経久の帰国を許します。
重臣の陶興房(すえおきふさ)がお屋形様が京都に居る間に何か始める気だ、留守を狙うのは京極ではなく経久本人だろうと言います。
秀綱の言葉が嘘と分かっていても平然とそれは一大事だ、行くがよいと言う義興は大物感に満ちていて、尼子経久役の緒形拳さんとともに大内義興役の細川俊之さんの大物感もかなり魅力があります。
松寿丸(しょうじゅまる)と杉の関係は徐々に良くなり始め、杉が重いものを運ぼうとしてバランスを崩しているのを見て心配していました。
重臣の井上元兼(もとかね)が納屋に様子を見に来ますが、落ち込んでいるのではと期待した杉が元気一杯なのを見てがっかりして帰っていきます。
杉はもし元兼がそんな素振りを少しも見せずに帰っていけば大した男だと思うものをと言い、さらに「いかに上手い嘘をつくかが男の価値にございまするぞ」と言います。
この場面は印象的で松寿丸もはっとしていました。
この場合の嘘はあるものをないと言ったりするような露骨な嘘とは違い、心の内を表に出さない気配の嘘だと思います。
芳姫の病気見舞いの返礼として武田の家臣団が郡山城を訪れます。
毛利家は尼子の不穏な動きに備えるために城の詳しい見取りを教えろと言われ、城が丸裸にされそうになります。
ここでも元兼が杉に嫌がらせをし、武田の家臣団との宴会に出るように言い杉は嫌々引き受けます。
宴会で杉は酒をつがず舞もせず歌も歌わずに座っているだけだと言い、武田の家臣団が激怒するのではとハラハラしましたが大島という男が杉を気に入ったと言い驚きました。
渡辺勝(すぐる)が松寿丸と杉の納屋を訪ねてきて杉に話があると言います。
すると松寿丸も勝に話があると言い、尼子と武田が裏で手を結んでいるような気がしてならないと言います。
この勘の鋭さには後の中国地方10ヶ国、120万石の大名毛利元就の片鱗を見ました。
勝も勘の良さに驚いていました。
そして勝が杉に話そうとしていたのも同じことで、尼子と武田が手を結び郡山城の備えを探りに来たに違いないと言います。
勝は杉に大島に取り入って手がかりを掴んでくれないかと言い杉も引き受けます。
松寿丸は自分にやらせてくれと言いますが勝に止められます。
松寿丸は戦に長け大内にも尼子にもその名を知られている勝に褒められたいと言っていて、勝も気持ちはよく分かったと言いますが子供の手に負えることではないため杉に頼みます。
杉は松寿丸に「明日はこの杉が二刻(4時間)ほど武田の侍集をもてなしましょうぞ。誰一人として、この杉のそばを離れられぬほど、面白おかしくもてなして、武田の部屋を空っぽにしてみせましょうぞ」と言います。
これを見て杉は松寿丸が武田の部屋に忍び込めるようにしてあげているのだと思いました。
松寿丸も杉の意図を察していました。
裏で尼子に通じている重臣の桂広澄(ひろずみ)は尼子と武田が手を結んだことを聞かされてはいないです。
広澄はそのことで悩み、相合(あいおう)に「不要の者と思われたかの」とぼやきます。
すると相合が「私、今初めて、桂様のお役に立てた気が致しまする。弱音を吐いてくださった。男に弱音を吐いてもらえぬ女子は、女子としての価値がござりませぬ」と言います。
ひぐらしの鳴く夕方に二人で縁側に座ってのこの場面は良いと思いました。
杉と毛利家の重臣達、そして武田家臣団の宴会が始まります。
松寿丸はその隙に武田の部屋に忍び込みます。
しかし大島が京都で手に入れた美しい小袖を持ってきているので杉に着せてあげると言い家来が部屋に戻ります。
杉の様子から松寿丸が部屋に忍び込んでいると察した勝はいざとなれば家来を斬るつもりで待ち伏せます。
松寿丸は間一髪隠れて見つからずに済み、さらに大島達が郡山城を探っている証拠の見取り図を見つけます。
松寿丸の大手柄に筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)は「お見事」と感心します。
勝は「されど松寿丸様、今後二度と一人で動いてはなりませぬ。武士の戦は一人ではできませぬ」と言っていて良い言葉だと思いました。
松寿丸も「すまぬ。二度とせぬ」と言い勝の思いを分かっていました。
三人が話す部屋にやってきた杉が「良かった」と言って松寿丸を抱き締め、心底心配していたのが分かりました。
広良は「囮の砦を本物の砦と見間違っているところも多々あり、この図面なら持ち帰られても問題ない。それなら武力の上で遥かに勝る武田方と今すぐに事を構えるのは得策ではない」と言い、松寿丸も納得し「そのとおりじゃ。よう分かった。されど、これ以上探られてはならぬ」と言います。
その様子を見て勝は頼もしそうに「仰せのとおりにござる。志道殿、松寿丸様はよき武将になられまするぞ」と言います。
今回は松寿丸が大活躍していてとてもワクワクしました。
杉は松寿丸にご褒美をあげるべきだと言い、「毛利の城を狙う武田の謀略を食い止めたお手柄に報い、今日を限りに土居からお出し致す!文句はございませぬな!」と言います。
この剣幕には広良も勝も圧倒されていました。
真っ二つに切られた絵図面を見た大島達は表立って抗議することもできず翌朝すぐに帰っていきました。
広良が「松寿丸様、厳島神社に赴き、神に御加護を賜った御礼を申し上げねばなりませぬぞ」と言います。
さらに杉にもご褒美をあげると言い、松寿丸とともにゆっくり参拝してくるように言います。
(画像はネットより)
松寿丸と杉は宮島の厳島神社に参拝します。
私は厳島神社が好きなのでこの場面はとても良かったです。
(画像はネットより)
松寿丸は長い間願っていて、杉が「何を、長いことお願いされました?私は、松寿丸様が一国の主になれますようにと、お願い致しました」と言うととても印象的なことを言います。
「杉殿、天下の主になろうと考えて、やっと一国の主になれるものじゃ。初めから、一国の主になろうと考えておっては、何にもなれぬ」
この子はとてつもない武将になるのではという思いが杉の胸に広がっていきました。
今回の最後、松寿丸は初めて杉のことを「杉殿」と呼んでいて尊重するようになったのが分かりました。
二人がついにお互いのことを尊重し合うようになったのを見て嬉しくなりました。
厳島神社から見た海に浮かぶ大鳥居、そして瀬戸内海が毛利元就の大活躍を表しているように見え、この先の物語がとても楽しみです
各回の感想記事
第一回 妻たちの言い分
第二回 若君ご乱心
第三回 城主失格
第四回 女の器量