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「毛利元就 第八回 出来すぎた嫁」

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今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第八回 出来すぎた嫁」です。

-----内容&感想-----
大内の負けを見越して勝手に帰国した毛利、吉川、高橋の三家は今後の対応をどうするか話し合います。
元就が安芸の主な国人衆に働きかけて盟約を結ぶのが良いのではと案を出すと、「安芸の国人衆は一筋縄ではいかない者ばかり。特に大内から目をかけられている天野は簡単に盟約に応じるとは思えない」といった意見が出ます。
元就が「逆に一番厄介な天野を盟約に入れることができれば、他の国人衆も後に続くのでは」と言うと、吉川と高橋が「その役目を果たせるのは興元(おきもと)殿しかいない」と言います。
しかし興元は不安そうで、そんな興元を元就は心配そうに見ていました。

元就が自身も精一杯兄上をお助けしますと声をかけた時、興元が印象的なことを言います。
「この世の中、最後に頼りになるのは、身内だけじゃのう」
これを見て、家族の存在の大きさと大切さを強く感じました。

興元と志道広良(しじひろよし)が天野家当主の天野興次(おきつぐ)に盟約の話をしにいくと嫌味なことを言われて断られ、さらに大内義興(よしおき)から「ただちに毛利を討て」という書状が届いていることが明らかになります。
毛利には一刻の猶予もなくなっていました。

評定(ひょうじょう)で対策を話し合いますが行き詰る中、元就が興元に策があると言います。
元就は高橋家当主の高橋元光に会い、娘の雪殿に惚れたので毛利家に輿入れしてほしいと頼みます。
最初は「10年早いわ」「ひよひよの赤子が」とあしらっていた高橋ですが、元就が兄の興元の正室になってほしいことを言うと興味を示します。
元就は今高橋家と毛利家が親戚になれば天野は必ず恐れると言います。
高橋は既に安芸の国人、石見(いわみ)の国人と手を結んでいて、毛利は備後(びんご)と手を結んでいます。
両家が親戚になれば安芸、備後、石見と国の枠を超えた絆が整い、天野がその中で孤立を良しとするはずはないので、そのために三国の架け橋として雪に毛利家に嫁いでほしいというのが元就の考えです。
すると高橋も「やるのお、ひよひよ」と言って元就を見直していました。
二人の前に現れた雪に高橋が「毛利興元殿へ輿入れせよ」と言うと全く嫌がらずに「分かりました」と言い、盟約のための輿入れなのを分かっていて切れ者の予感がしました。


雪の方(写真はネットより)。

元就は雪と二人になると興元が心を病んでいることを打ち明けます。
隠してはおけない、輿入れを断られても仕方ないと言っていて、これは誠実だと思いました。
雪は「左様なことに胸を痛めるお方こそ、信じられまする」と言います。
雪の優しさを感じた場面でした。

1512年2月、雪は興元の正室になります。
評定(ひょうじょう)の場で福原広俊や興元が雪に「思っていることは何でも言ってくれ」と言うと、物凄い力を発揮します。
天野を盟約に加えるには両家の婚儀が整った今を逃してはならない、元就はただちに天野と話をし、みなで手分けして時を同じくして他の国人衆とも話をまとめてもらう、そうすれば大内の成敗も難しくなり、さらに家臣の皆には日頃どんな務めを任されているのかを話してもらいたい、無駄があれば無くし、さらに力を発揮してもらえるように洗い直したいと言います。
そんな雪を見て元就は呆気に取られていました。
間もなく天野を始め安芸の主な国人衆が次々と盟約に加わり協力な同盟が出来上がります。

義興に重臣の内藤興盛(おきもり)が安芸九ヶ国の国人衆が集まり盟約を結んだことを伝えます。
興盛は激怒し自身に毛利を討たせてくれと言いますが義興は成敗は一時取り止めにすると言います。
納得いかない興盛はたとえ盟約を結ぼうと安芸の国人などねずみのようなもの、自身にまかせてくれと言いますが義興は「ならん!」と重ねて言います。
重臣の陶興房(すえおきふさ)が「ねずみのごとき者どもこそ、追い込まれた時には必ず猫を噛むものじゃ」と言っていてそのとおりだと思いました。
義興は盟約を「いずれ丸ごとこちら側に引きずり込む。今は捨て置け!」と言い、怒りに任せて突進はしないところが流石だと思いました。
元就の大活躍で大内の成敗を取り止めにすることができ、早くも知将ぶりを発揮していました。

広澄が月夜丸の妹の松姫を吉川家に嫁がせると言います。
広澄はいずれ尼子の世になると見ていて、尼子経久(つねひさ)の奥方は吉川の出身のため、尼子の世になれば吉川を重く扱うようになると読んでいます。
こちらも政略結婚の策略が凄いと思いました。

雪が成敗の心配もなくなった今こそ手を打たねばならないことがいくつもあるのではと言うと、興元が元就と相談するから心配ないと言います。
その時に雪がとてもがっかりした幻滅の表情をしていて、本当は自身に相談してほしいのだと思いました。
雪が広澄が松姫を吉川家に嫁がせるのを急ぐのは何かあるはずで、尼子経久の奥方は吉川の出身でもあり、私なら表立たずに調べられるから働かせてほしいと言うと、興元は雪が生けていたさざんかの花の話をして全く噛み合わないです。
言いたいことをぐっと堪えて興元に話を合わせ、さざんかの花の話をする雪がかなり可哀想でした。

興元と雪が上手く行っていないという噂が聞かれるようになり、縁組を勧めた手前気まずい元就は郡山城に行かなくなります。
そんな元就に杉と侍女の久が郡山城に行きましょうと言うと元就は嫌じゃと言いながらぼやいていて、ぼやきぶりがどんどん板についてきています。
杉に連れられて元就が郡山城に行くと興元は一気に喜んで明るくなります。
雪と居る時の表情のなさとの差が印象的でした。

四人での酒の席になると雪がせきを切ったように話し出します。
盟約を結んで間もないのに毛利と吉川が縁組すれば他の国人達から抜け駆けしたと思われると言うと、元就はそんなことはない、盟約の深まりを感じるはずだと言いますが、雪は元就は若いのでそう思うのも無理は無いと言います。
元就はむっとしたようで、雪はまだ毛利の人間になりきれていない、高橋のことばかり考えていると言います。
この言葉に雪も怒ると、興元はもうよいと言って出て行ってしまいます。
雪が心から毛利のために働きたいと思っているのだと言うと元就は自身の間違いに気づき謝ります。

興元は酒のとっくりを割り破片を腕に差します。
「痛い」と言いながら弱々しく笑っていて、痛みを感じるのが嬉しそうにも見え、内面を病んでいるのがよく分かる場面でした。
一度猿掛城に帰った元就と杉も戻ってきて三人で興元の身を案じます。
興元は「死のうとしたのではない。おのれがまことに生きておるのか、確かめたかった」と言っていて印象的な言葉でした。
涙を流しながら興元の手を握る雪を見て、必ず興元の支えになってくれると思いました。

杉が元就に雪のような妻を娶られませと言うと、元就は雪と杉の二人によく似た女子を娶ると言っていました。
雪の聡明さ、杉の天真爛漫さ、両方揃うとかなり魅力的だと思います。


今回は働かせてもらえずに嘆く雪の姿が特に印象的でした。
ただし雪は最後、働くのは何も策略を考えたりするだけではないのを悟ったのではと思います。
辛い内面になっている興元のそばにいて寄り添うことも立派な働きだと思います。


各回の感想記事
第一回 妻たちの言い分
第二回 若君ご乱心
第三回 城主失格
第四回 女の器量
第五回 謀略の城
第六回 恋ごころ
第七回 われ敵前逃亡す

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