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「毛利元就 第九回 さらば兄上」

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今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第九回 さらば兄上」です。

-----内容&感想-----
雪が毛利興元(おきもと)の子を身ごもります。
吉田郡山城を訪れた元就に興元が「雪はよくやってくれる。申し分なき室(正室)じゃ」と言っていて私は嬉しくなりました。
この二人の夫婦仲が良くなって良かったです。

京都の大内義興(よしおき)は盟約(国人領主連合)の勢力拡大を警戒し、武田元繁(もとしげ)を国元の安芸に帰し盟約の国人衆を抑えるように言います。
「しかしこの武田元繁こそ、尼子経久(つねひさ)と恐ろしい密約を結んでいたのです」というナレーションがあり波乱が予感されました。
元繁は家臣達にただちに経久にこのことを知らせるように言い、まずは毛利を叩き潰すと言います。

出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)では知らせを受けた経久が策略を考えます。
経久は盟約の結束力がどれほどのものか読めないため、血気盛んに安芸の国人衆達に攻め込もうとしている元繁を戦わせて確かめようとします。
元繁と密約を結んでいても体よく利用しようとしていて、経久の狡猾さを感じました。

帰国した元繁は義興に反旗を翻し、大内方の大野河内城(こうちじょう)を攻め落とし、さらに己斐城(こいじょう)を包囲する動きに出ます。
義興は元繁を討つように興元に命ぜよと言います。
重臣の陶興房(すえおきふさ)は興元は大内を裏切って逃げ帰ったことを忘れてはいないはずで、裏切りを許すと言えば必ず動くと言います。
義興は毛利が動けば盟約の国人衆がどう出るかを見ることができ、盟約の結束の強さを確かめられると言っていました。
経久も義興も盟約の結束の強さを確かめようとしていて、安芸九ヶ国の盟約がいかに警戒されているかが分かりました。

評定(ひょうじょう)で興元は大内の命に従い武田と戦うと言います。
京都から無断で撤退したのを口実に毛利の商いの道は大内の圧力で閉ざされたままで、自身のせいで領民の暮らしが困窮しているのをそのままにはしておけないという思いがあります。
毛利だけではとても武田には勝てないため盟約の国人衆の合力(ごうりき、援軍として共に戦うこと)が欲しいところですが、大内の命に従うことは盟約に反していて、簡単には合力してもらえそうにないです。
元就が「吉川に有田城を共に攻め落とそう」と誘えば合力してくれるのではと言います。
有田城は元々吉川の城でしたが武田に取られてしまい、その口惜しさを今でも吉川は忘れていないはずというのが元就の考えで、筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)が「今回の戦は盟約を破ることにはならず、大内に借りを返すだけのため」と説得することになります。
前回に続いてここでも元就が知将ぶりを発揮していました。


毛利興元(画像はネットより)

興元が元就を呼び出し、武田との戦で元就は留守を守っているように言います。
「わしの思い、分かるな」と言っていて、元々は兄が大内に無断で京都から逃げ帰ったことが招いた戦で、そんな戦で弟を危ない目には遭わせられない、そしてもし自身が死ぬようなことがあったら後を頼むと言っているように見えました。
雪が元就の帰り際を引き留め、なぜようやく立ち直ったばかりの興元を戦に行かせるのかと言います。
元就は「大内の命に従うことで、兄上は裏切りから解き放たれる」と言っていました。
「お家は潰され、殿は死ぬ…」と悲観している雪に元就は「必ず吉川を説得し、合力を取り付ける。決して兄上を死なせるようなことはしない」と言っていましたが、今回のタイトルは「さらば兄上」で、とても印象的な場面でした。

重臣の桂広澄(ひろずみ)が重臣の渡辺勝(すぐる)に手を組まないかと話をします。
広澄はかねてから尼子経久と気脈を通じていることを打ち明けます。
一旦は刀を広澄の首に突き付けた勝ですが広澄の言葉を聞くうちに刀を納め、広澄が尼子に通じるのを黙認したことが分かりました。

元就と広良が吉川家当主の吉川元経(もとつね)とその父、国経を説得しますが動こうとしないです。
杉の「命がけの思いが人を動かすのじゃ」という言葉を思い出した元就は自身を人質に取りもし興元が約定を破った場合は首をはねてくれと言い、涙ながらに幼い頃から自身を育ててくれた兄興元に恩を返したいという思いを語ります。
元就の心からの言葉を聞いた国経が「あい分かった。吉川全軍をあげ合力致す」と言い、吉川の合力を取り付けることに成功します。

毛利吉川連合軍は有田城に兵を進めます。
しかしこれは武田元繁の読み通りで尼子との挟み撃ちにして全滅させようとして動きます。
興元は撤退を決断しかけますが勝の「今撤退しても退路を断たれて全滅する。我らが生き残る道は尼子が動く前に有田城を落とすしかない」という言葉を受け有田城に攻めかかり、狙い通り落とします。

毛利吉川連合軍が有田城を落とした知らせを受けた経久は「戦はやめた」と言います。
盟約の結束の強さに感心していて、兵は動かさず調略で盟約を尼子に抱き込む方針に変えます。
尼子の出陣がなかったため戦局は一変し武田軍は兵を引きます。
毛利吉川連合軍が勝利し毛利軍は吉田郡山城に凱旋します。
興元は死ぬと思っていたので生きて凱旋したのは意外でした。

雪は無事に長男の幸松丸(こうまつまる)を生み毛利家は二重の喜びに包まれます。
陶興房が郡山城にやってきて義興が今回の毛利の戦ぶりをとても喜んでいると伝え、京都から勝手に帰国したことを許してくれます。
毛利に明るい兆しが見えて嬉しかったです。

広澄と勝が二人で話をします。
勝は今回経久が動かなかったのは盟約の力を計りたかったからで、盟約の力を認めた今経久は盟約に取り入ろうとするに違いないと言い、広澄も「そのとおりじゃ」と言います。
そして勝は「経久殿は面白うござる。それがし、手を組む」と言い、ついに勝も尼子方になります。

1516年、吉川元経と相合(あいおう)の娘、松姫の縁組が成立します。
吉川と毛利の結びつきは一段と強くなりましたが、その裏には毛利家中での力の拡大を図る広澄の思惑が働いていました。
松姫の兄、月夜丸も元服を済ませ、相合元綱(もとつな)となり広澄にとって頼りになる武将に成長していました。

興元が父と同じ酒の害で24歳の若さで急死します。
元就は涙を流しながら興元の死を悔やみ、一人ぼっちになってしまったと言っていました。


最後にあった「兄の死は気楽な次男坊である元就の運命を大きく変えていくのです」というナレーションが印象的でした。
兄を失った元就はやがて毛利家を背負って立つ存在になります。
経久が盟約の国人衆を調略しにかかるのも予想され、これからの話がかなり楽しみです


各回の感想記事
第一回 妻たちの言い分
第二回 若君ご乱心
第三回 城主失格
第四回 女の器量
第五回 謀略の城
第六回 恋ごころ
第七回 われ敵前逃亡す
第八回 出来すぎた嫁

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