今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十一回 花嫁怒る」です。
-----内容&感想-----
冒頭、毛利元就が初陣で武田元繁(もとしげ)を打ち破ったことで「元就の武勇は一挙に中国地方全土に広まったのです」とナレーションがありました。
ついに元就が名を轟かせて嬉しかったです
杉は元就が名を轟かせたことをとても喜び、元就に「神社に詣でても寺に参っても元就様の噂で持ちきりじゃ」と言っていました。
さらに毎日元就を褒めてくれた人の数を紙に書いていて元就に見せていました。
元就は戸惑いながらこれ以上自身の噂が広まれば毛利は危ないと言います。
盟約の国人衆は毛利が急に強くなったと思い警戒し、そうなれば毛利は動きが取れなくなると言っていて、さすがによく見ていると思いました。
出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)では重臣の宇山久兼(ひさかね)が尼子経久(つねひさ)に盟約の国人衆への調略が順調に進んでいると言います。
一国ずつ切り崩していき孤立させれば毛利を大内から切り離すのは容易いと言っていて、早くも尼子によって盟約が弱体化していました。
月山富田城に吉川国経の娘で吉川家当主の元経(もとつね)の妹、美伊(みい)がやって来ます。
経久は美伊が苦手で到着の知らせを受けると「寒気がすると思った。あの子はどうも苦手だ」と言っていました。
普段は策略家の風格たっぷりの経久が美伊の天真爛漫な振る舞いに圧倒されてたじたじになっているのが面白かったです。
経久の正室の萩は美伊と親戚です。
とても美伊が苦手そうな浮かない顔をしていた経久ですが、美伊を元就のもとに嫁がせることを閃きます。
国経を呼び出した経久はぜひ美伊を元就のもとに嫁がせるように言い、国経が武田元繁を打ち破ったと言っても毛利にはまださほどの力はなくさらに元就は次男で、当家にとっても尼子家にとっても大した力にはならないのではと言います。
経久はそれでも構わないから元就に嫁がせろと言い、国経がなぜそんなに元就にこだわるのかと聞くとにんまりと微笑んでいて、策略を立てているのが分かりました。
毛利家に縁組の話が来て評定(ひょうじょう)が開かれます。
後ろに尼子が居る美伊と元就が縁組すれば大内は不快に思うことが予想されます。
亡き興元(おきもと)の正室、雪が毛利と大内とのつながりを知りながらこんな縁組の話を持ち出してくるとはどういうつもりかと言うと、重臣の桂広澄(ひろずみ)が尼子は既に吉川を取り込んだと考えるべきと言います。
筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)は尼子の調略が進み盟約の国人衆はもはや当てにはできない現状だと言います。
元就は家臣と雉狩りに出掛けます。
すると何とそこに尼子経久が待ち伏せていました。
「第一回 妻たちの言い分」で元就が幼少時代に遭遇して以来の再会です。
経久が「武田元繁(もとしげ)を殺したは流れ矢と言ったそうだな」と言い、元就は「はい、まことに運良く流れ矢が当たってくれました」と言いますが経久は全く信じないです。
二人の話の中で生き方についての考え方の違いが興味深かったです。
元就は「小さな国の領主として、某(それがし)は家族を守り、つつがなく細く長く生きるのが武将として最も難儀なことと思うております」と言います。
経久は「わしは太く長く生きる。60歳のわしにとって、全てはこれからだ」と言い、還暦を迎えてのこの野望の持ち方は凄いと思いました。
そして経久は「わしと手を組まぬか」と言います。
元就は「逆らえば、矢が飛んでくるのでござるか」と言い、周囲に弓矢を構えた経久の家臣達がいるのを察知していました。
しばし無言で向き合った後経久は去って行きます。
緒形拳さん演じる経久はやはり風格が素晴らしく、こんな人が天下を狙って動けば凄いことになるという気がします。
元就は美伊との縁組を受けることを決めます。
経久に待ち伏せをされ、ひとたび合図をされれば即座に矢が飛んできて撃ち殺された状況はまさに今の毛利家のようだったと言い、尼子と毛利の圧倒的な力の差を感じていました。
その尼子が後ろにいる縁組では受けるしかないと覚悟を決めたようです。
吉川の館では縁組の噂を聞いた美伊が侍女の藤野に「立派な家の御方様になって凛々しい子供をたくさん生むのじゃ」と意気込みを語っていました。
しかし国経と元経にわずかな領地しかない元就のもとに嫁ぐように言われ怒ります。
それでも経久が縁組に関わっていると察知した美伊は経久に逆らえば吉川家のみならず萩も困るだろうと言い嫌々ながら嫁ぐことを承諾します。
国経は「今尼子の力は急速に伸びておる。吉川としてはその下に付き、安芸も出雲も石見(いわみ)もまとめたいのじゃ」と語っていて、まさに政略結婚だと思いました。
郡山城で元就と美伊の縁組が整ったことが伝えられます。
その後で元就は重臣の井上元兼と話をし、大内とのことを頼むと言います。
「毛利本家は大内殿との縁を保つのじゃ。わしは毛利分家として、吉川と尼子とつながる。毛利はな、大内とだけつながっても、尼子とだけつながっても立ち行かぬのじゃ。そこで元兼、おぬしが頼りなのじゃ」と言います。
さらに「元兼はな、大内殿より多大な信頼を得ておるであろう」と言い元兼をまんざらでもない雰囲気にさせていてこれは上手いと思いました。
元兼は京都から帰国途中の大内家の重臣、陶興房(すえおきふさ)から内々に呼び出されます。
興房は元兼に「実は、御館様(おやかたさま、大内義興(よしおき)のこと)の帰国は、尼子経久を直々の手で成敗いたすためじゃ」と伝えます。
元兼が「戦になりまするな」と言うと興房は「今までにない大戦じゃ」と凄んだ声で言います。
1518年(永正15年)、美伊が毛利家に嫁いできます。
その夜、元就と美伊の掛け合いは印象的でした。
元就と美伊(画像はネットより)。
寝所で元就が休もうかと言うと美伊が裸になり「このとおり寸鉄も帯びてはおりません。床入りの作法として父より教えられました」と言います。
これは色仕掛けで暗殺しに来たわけではないから安心してくれということだと思います。
しかし元就は美伊に着物を掛けてあげ、「わしはやはり、そなたとは同じ床では休めぬ。別の部屋で休む」と言います。
すると美伊が激怒して元就を平手打ちし、「無礼者!裸にまでなったというに、何たる無礼!帰る!」と言って出て行こうとします。
元就は必死に美伊を引き止め、「わしはな、今の今まで同じ床で休むつもりでおった。じゃがな、裸になって身の証を立てる女と分かって己が恥ずかしゅうなった」と言い、ここで美伊がはっとした表情になります。
さらに元就が「わしはかねてより惚れた女子と結ばれたいと思うておった」と言うと、美伊は「美伊も今、殿のことは好きでも嫌いでもござりませぬ。同じ床に入らずに済めば、かように嬉しいことはござりませぬ」と言います。
元就が戸惑いながら「はっきりしていてよいな!」と言うと美伊は「殿も正直でよろしゅうござりまする」とふてぶてしく言い、元就は怒りながら「ゆるりと休むがよい!」と言って寝所を出て行きます。
結婚初夜にして物凄く気まずくなりましたが、元就が出て行った後美伊は「無礼者め」と言いながらも微笑んでいました。
微笑む様子を見て元就に好印象を持ったことが分かり、夫婦仲が良くなることが予感されました。
今回は元就の正室となった美伊がとても印象的でした。
美伊は「第八回 出来すぎた嫁」で元就が言っていた「雪(聡明さ)と杉(天真爛漫さ)の二人によく似た女子を娶る」を体現してもいると思います。
まだ気まずい二人が仲良くなっていくのが楽しみです
各回の感想記事
第一回 妻たちの言い分
第二回 若君ご乱心
第三回 城主失格
第四回 女の器量
第五回 謀略の城
第六回 恋ごころ
第七回 われ敵前逃亡す
第八回 出来すぎた嫁
第九回 さらば兄上
第十回 初陣の奇跡
-----内容&感想-----
冒頭、毛利元就が初陣で武田元繁(もとしげ)を打ち破ったことで「元就の武勇は一挙に中国地方全土に広まったのです」とナレーションがありました。
ついに元就が名を轟かせて嬉しかったです
杉は元就が名を轟かせたことをとても喜び、元就に「神社に詣でても寺に参っても元就様の噂で持ちきりじゃ」と言っていました。
さらに毎日元就を褒めてくれた人の数を紙に書いていて元就に見せていました。
元就は戸惑いながらこれ以上自身の噂が広まれば毛利は危ないと言います。
盟約の国人衆は毛利が急に強くなったと思い警戒し、そうなれば毛利は動きが取れなくなると言っていて、さすがによく見ていると思いました。
出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)では重臣の宇山久兼(ひさかね)が尼子経久(つねひさ)に盟約の国人衆への調略が順調に進んでいると言います。
一国ずつ切り崩していき孤立させれば毛利を大内から切り離すのは容易いと言っていて、早くも尼子によって盟約が弱体化していました。
月山富田城に吉川国経の娘で吉川家当主の元経(もとつね)の妹、美伊(みい)がやって来ます。
経久は美伊が苦手で到着の知らせを受けると「寒気がすると思った。あの子はどうも苦手だ」と言っていました。
普段は策略家の風格たっぷりの経久が美伊の天真爛漫な振る舞いに圧倒されてたじたじになっているのが面白かったです。
経久の正室の萩は美伊と親戚です。
とても美伊が苦手そうな浮かない顔をしていた経久ですが、美伊を元就のもとに嫁がせることを閃きます。
国経を呼び出した経久はぜひ美伊を元就のもとに嫁がせるように言い、国経が武田元繁を打ち破ったと言っても毛利にはまださほどの力はなくさらに元就は次男で、当家にとっても尼子家にとっても大した力にはならないのではと言います。
経久はそれでも構わないから元就に嫁がせろと言い、国経がなぜそんなに元就にこだわるのかと聞くとにんまりと微笑んでいて、策略を立てているのが分かりました。
毛利家に縁組の話が来て評定(ひょうじょう)が開かれます。
後ろに尼子が居る美伊と元就が縁組すれば大内は不快に思うことが予想されます。
亡き興元(おきもと)の正室、雪が毛利と大内とのつながりを知りながらこんな縁組の話を持ち出してくるとはどういうつもりかと言うと、重臣の桂広澄(ひろずみ)が尼子は既に吉川を取り込んだと考えるべきと言います。
筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)は尼子の調略が進み盟約の国人衆はもはや当てにはできない現状だと言います。
元就は家臣と雉狩りに出掛けます。
すると何とそこに尼子経久が待ち伏せていました。
「第一回 妻たちの言い分」で元就が幼少時代に遭遇して以来の再会です。
経久が「武田元繁(もとしげ)を殺したは流れ矢と言ったそうだな」と言い、元就は「はい、まことに運良く流れ矢が当たってくれました」と言いますが経久は全く信じないです。
二人の話の中で生き方についての考え方の違いが興味深かったです。
元就は「小さな国の領主として、某(それがし)は家族を守り、つつがなく細く長く生きるのが武将として最も難儀なことと思うております」と言います。
経久は「わしは太く長く生きる。60歳のわしにとって、全てはこれからだ」と言い、還暦を迎えてのこの野望の持ち方は凄いと思いました。
そして経久は「わしと手を組まぬか」と言います。
元就は「逆らえば、矢が飛んでくるのでござるか」と言い、周囲に弓矢を構えた経久の家臣達がいるのを察知していました。
しばし無言で向き合った後経久は去って行きます。
緒形拳さん演じる経久はやはり風格が素晴らしく、こんな人が天下を狙って動けば凄いことになるという気がします。
元就は美伊との縁組を受けることを決めます。
経久に待ち伏せをされ、ひとたび合図をされれば即座に矢が飛んできて撃ち殺された状況はまさに今の毛利家のようだったと言い、尼子と毛利の圧倒的な力の差を感じていました。
その尼子が後ろにいる縁組では受けるしかないと覚悟を決めたようです。
吉川の館では縁組の噂を聞いた美伊が侍女の藤野に「立派な家の御方様になって凛々しい子供をたくさん生むのじゃ」と意気込みを語っていました。
しかし国経と元経にわずかな領地しかない元就のもとに嫁ぐように言われ怒ります。
それでも経久が縁組に関わっていると察知した美伊は経久に逆らえば吉川家のみならず萩も困るだろうと言い嫌々ながら嫁ぐことを承諾します。
国経は「今尼子の力は急速に伸びておる。吉川としてはその下に付き、安芸も出雲も石見(いわみ)もまとめたいのじゃ」と語っていて、まさに政略結婚だと思いました。
郡山城で元就と美伊の縁組が整ったことが伝えられます。
その後で元就は重臣の井上元兼と話をし、大内とのことを頼むと言います。
「毛利本家は大内殿との縁を保つのじゃ。わしは毛利分家として、吉川と尼子とつながる。毛利はな、大内とだけつながっても、尼子とだけつながっても立ち行かぬのじゃ。そこで元兼、おぬしが頼りなのじゃ」と言います。
さらに「元兼はな、大内殿より多大な信頼を得ておるであろう」と言い元兼をまんざらでもない雰囲気にさせていてこれは上手いと思いました。
元兼は京都から帰国途中の大内家の重臣、陶興房(すえおきふさ)から内々に呼び出されます。
興房は元兼に「実は、御館様(おやかたさま、大内義興(よしおき)のこと)の帰国は、尼子経久を直々の手で成敗いたすためじゃ」と伝えます。
元兼が「戦になりまするな」と言うと興房は「今までにない大戦じゃ」と凄んだ声で言います。
1518年(永正15年)、美伊が毛利家に嫁いできます。
その夜、元就と美伊の掛け合いは印象的でした。
元就と美伊(画像はネットより)。
寝所で元就が休もうかと言うと美伊が裸になり「このとおり寸鉄も帯びてはおりません。床入りの作法として父より教えられました」と言います。
これは色仕掛けで暗殺しに来たわけではないから安心してくれということだと思います。
しかし元就は美伊に着物を掛けてあげ、「わしはやはり、そなたとは同じ床では休めぬ。別の部屋で休む」と言います。
すると美伊が激怒して元就を平手打ちし、「無礼者!裸にまでなったというに、何たる無礼!帰る!」と言って出て行こうとします。
元就は必死に美伊を引き止め、「わしはな、今の今まで同じ床で休むつもりでおった。じゃがな、裸になって身の証を立てる女と分かって己が恥ずかしゅうなった」と言い、ここで美伊がはっとした表情になります。
さらに元就が「わしはかねてより惚れた女子と結ばれたいと思うておった」と言うと、美伊は「美伊も今、殿のことは好きでも嫌いでもござりませぬ。同じ床に入らずに済めば、かように嬉しいことはござりませぬ」と言います。
元就が戸惑いながら「はっきりしていてよいな!」と言うと美伊は「殿も正直でよろしゅうござりまする」とふてぶてしく言い、元就は怒りながら「ゆるりと休むがよい!」と言って寝所を出て行きます。
結婚初夜にして物凄く気まずくなりましたが、元就が出て行った後美伊は「無礼者め」と言いながらも微笑んでいました。
微笑む様子を見て元就に好印象を持ったことが分かり、夫婦仲が良くなることが予感されました。
今回は元就の正室となった美伊がとても印象的でした。
美伊は「第八回 出来すぎた嫁」で元就が言っていた「雪(聡明さ)と杉(天真爛漫さ)の二人によく似た女子を娶る」を体現してもいると思います。
まだ気まずい二人が仲良くなっていくのが楽しみです
各回の感想記事
第一回 妻たちの言い分
第二回 若君ご乱心
第三回 城主失格
第四回 女の器量
第五回 謀略の城
第六回 恋ごころ
第七回 われ敵前逃亡す
第八回 出来すぎた嫁
第九回 さらば兄上
第十回 初陣の奇跡