今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十五回 涙のうっちゃり」です。
-----内容&感想-----
毛利家の当主、幸松丸(こうまつまる)が鏡山城の戦がもとでわずか9歳で亡くなり、幸松丸の曽祖父(元就の祖父)の福原広俊は孫の毛利興元(おきもと)、ひ孫の幸松丸を亡くした悲しみから髷(まげ)を切り「出家する」と言います。
元就は「元就には母上がおった。5つで死なれては何も覚えてはおらぬ。昔、元就には父上がおった。10(とお)で死なれては、ぼんやりとしか思い出せぬ。姉上や兄上もおられた。みなこの元就を残して死んでいかれた。じい、今また、元就に昔じいがおったと言わせたいのか」と言い懸命に引き止めます。
すると筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)がやって来て大内が戦の準備を進めていると言い、鏡山城で尼子経久(つねひさ)に敗れた今、今回は大内義興(よしおき)自ら陣頭指揮を取る噂もあると言います。
さらにただちに家督を継ぎ、毛利家当主として来るべき戦に備えると亡き殿(幸松丸)の御前に誓ってくれ、毛利の直系は元就殿しかいないと言います。
広良が広俊に「この大変な時に、元就殿をともに支えていって下されますな」と言うと広俊は切った髷を見ながら「早まってしもうた」と言い、出家を思い留まってくれます。
雪(亡き興元の正室で幸松丸の母)も元就に「幼き殿のご無念を晴らすためにも、ただちに毛利家当主になって下され」と言います。
これを見て雪は元就の異母弟の相合(あいおう)元綱より元就のほうが当主に相応しいと思っているのが分かりました。
相合(元就の亡き父、広元の側室)の館に尼子家重臣の宇山久兼(ひさかね)がやって来て、尼子家から尼子国久(経久の次男)の次男、豊久(経久の孫)を元綱の養子に迎えないかと言います。
久兼は経久は元綱を誰よりも買っておられると言い相合は「ありがたき幸せにござります」と言いますが、これはどう見てもお世辞なのを気づかないものかと思いました。
さらに久兼は尼子から形だけの養子を迎え実際に毛利を動かすのは元綱、重臣の桂広澄(ひろずみ)、重臣の渡辺勝(すぐる)だと言いますが実際には経久に良いように利用されるのではと思いました。
久兼が帰った後広澄は庭で弓矢を持って佇んでいる勝に声を掛けます。
勝はお家の行く末、家督争い、天下など、政(まつりごと)は闇で自身の性には合わないと言います。
広澄は「闇というものは、必ず明ける。むしろ我々は、闇を明けさせるために力を尽くしておる」と言いますが勝は経久の政に取り入れられるのは本意ではないと言い、養子を迎えるのに賛成するのを餞別として広澄と手を切ります。
尼子から養子の話が持ちかけられたことについて郡山城で評定(ひょうじょう)が開かれ、雪は元就という人がいながらなぜ他家から養子を迎える必要があるのだと怒ります。
広良は養子など迎えては尼子の意のままに操られると言い、まさにそのとおりだと思いました。
広俊も養子などいらないと突っぱねなされと元就に言います。
しかし元就はそう容易くはいかないと言い、元綱、広澄、勝は養子に賛成なのだなと尋ねます。
広澄は元就殿では困るというわけでは決してないが、今尼子に逆らうのは何よりも恐ろしいことで、近隣の国人衆は皆尼子に付いているため皆を敵に回すことになると言います。
元就もそれを思うと自身が容易くは家督を引き受けられないと言い、まだ態度を決めていない重臣の井上元兼は別として雪、広良、広俊は自身に家督を継げと言っているため家中が真っ二つだと言います。
「かような時こそ、皆が心を同じゅうせねばならぬ。わしが家督を継いでも、養子を迎えても、皆の気持ちは二つに割れる。わしはそれが恐ろしゅうてならぬのじゃ」
元就が家中の団結を重視しているのがよく分かる言葉でした。
尼子から10日以内に返事をするように言われているため最終的にどうするかは7日後の評定で決めることになります。
そしてこの評定で広良が病気で倒れます。
猿掛城に戻った元就は物凄くやる気のない声で美伊(みい)に「あー、どうしてよいか分からぬ」と言い、評定でのしっかりした声との差が面白かったです。
美伊は「じれったい!いつまでそうやってしおしおと同じことをぼやいておられますのじゃ」と言い、「殿が当主におなり下され。殿から千代寿丸(ちよじゅまる)へと家督を譲り渡すが道理。以上にござります」と言い話を終わらせようとしていてさすが美伊だと思いました。
元就が経久に逆らえば恐ろしいことになると言うと美伊は「尼子の叔父上はもう年ですゆえ、そのうち死にましょう」と言います。
さらに元就が家臣の分裂は目に見えていると言うと「養子でも殿でも、どっちみち分裂するなら、殿が家督を継ぐ!考えるほどのことではござりませぬ!」と言い、これも美伊らしいと思いました。
元就が「美伊は短気で強い女子じゃ」と言うと「はい、腰の引けてる夫を持つと女は限りなく短気に、強うなりまする!」と言っていてこの掛け合いは面白かったです。
しかし元就は母は違ってもたった一人の弟だから元綱と敵になりたくはないと言い養子を迎える方に考えが傾きます。
井上元兼は自身の家臣達にこの家督争いはどう考えても元就の負けで養子が入ってくると言います。
家臣が「いかがされます。今さら桂達にすり寄るというわけには」と言うと元兼は「すり寄る。強い方に付くことは恥ずかしいことではない」と言い、この変わり身の早さは凄いなと思いました。
「男は二枚も三枚も舌を持ち、それを悟られずにいかに渡り歩くかじゃ」と言い、さらに「ゆえに、土壇場で元就が勝ちそうになったらすぐに元就に付く」と言いやはり曲者だと思いました。
評定の3日前、元就は元綱を呼び二人で話し合い、元就が養子を迎えることに決めたと言うと元綱は驚きます。
元就は「わしはな、所詮当主の器ではない。されどな、尼子の好きにされては先祖に申し訳がない。養子を迎えて尼子の顔を立て、実は、兄弟二人で毛利を動かすのが一番じゃ」と思いを語ります。
元綱は自身が恥ずかしいと言い、心のどこかでいつも兄上と張り合っていた、兄上は正室の子で自身は側室の子という思いからか、兄上には負けたくないと思っていたと心の内を語ります。
「家のためとあらば当主の座にもこだわらぬ兄上に、元綱、心が洗われる思いにござりまする」と感動します。
評定の前夜、病気で倒れていたはずの広良が元就の前に現れ、元就が体は大丈夫なのかと聞くと「仮病にござる」と言います。
元就が養子を迎えることにしたと言うと広良は元就に家督を継いでもらいたいと言い、何と広良は仮病を使っている間に室町幕府とつなぎを付け、「元就の家督を認める」と書いた御内書(ごないしょ)を貰っていました。
当時室町幕府の力は弱まっていましたがそれでも幕府のお墨付きの威力は絶大です。
広良は「毛利元就こそ、名将の器。何人たりとも、代わりにはなりません」と言い、この場面は音楽も素晴らしくて胸が高鳴りました
元就が「わしはな、わしは、元綱と心を合わせて進みたいのじゃ。小さい頃より、身寄りのなかったわしが、たった一人の弟と心を一つにする嬉しさ、分かるか?」と聞くと広良は「よお、分かりまする。されど、毛利を救うのは、元就殿しかおらん。元綱殿では、毛利は滅びます」と言い、元就は悲しいながらも覚悟を決めた表情をしていました。
迎えた評定当日、元就は「わしが家督を継ぐことに致す」と言い元綱は驚愕して「お待ち下され!」と言います。
すると広良が「幕府のお墨付きじゃ」と言い御内書を見せ、元就が毛利本家の郡山城に迎えられることが決まります。
「毛利家当主、毛利元就の誕生です」というナレーションがとても印象的でした。
相合元綱(画像はネットより)
しかし元綱が憎しみに満ちた表情で元就を見ていたのも印象的でした。
その夜元就は「元綱は力を貸してくれるじゃろうか。たった一人の弟を裏切った兄ゆえ、いかが致したらよいか。どうしてよいか分からぬ」と心を痛めていました。
今回は広良が元就に家督を継ぐように説得した時の場面が圧倒的に良かったです。
「毛利元就こそ、名将の器」の言葉とともに一気に音楽がドラマチックになり胸が高鳴り、元就こそ当主に相応しいという思いが強く湧きました。
しかし土壇場で元綱を騙すことになったために元綱の元就への憎しみは凄まじいものになりいよいよ兄弟の激突の時が迫ります。
静かに決着を見届けたいと思います。
各回の感想記事
第一回 妻たちの言い分
第二回 若君ご乱心
第三回 城主失格
第四回 女の器量
第五回 謀略の城
第六回 恋ごころ
第七回 われ敵前逃亡す
第八回 出来すぎた嫁
第九回 さらば兄上
第十回 初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
-----内容&感想-----
毛利家の当主、幸松丸(こうまつまる)が鏡山城の戦がもとでわずか9歳で亡くなり、幸松丸の曽祖父(元就の祖父)の福原広俊は孫の毛利興元(おきもと)、ひ孫の幸松丸を亡くした悲しみから髷(まげ)を切り「出家する」と言います。
元就は「元就には母上がおった。5つで死なれては何も覚えてはおらぬ。昔、元就には父上がおった。10(とお)で死なれては、ぼんやりとしか思い出せぬ。姉上や兄上もおられた。みなこの元就を残して死んでいかれた。じい、今また、元就に昔じいがおったと言わせたいのか」と言い懸命に引き止めます。
すると筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)がやって来て大内が戦の準備を進めていると言い、鏡山城で尼子経久(つねひさ)に敗れた今、今回は大内義興(よしおき)自ら陣頭指揮を取る噂もあると言います。
さらにただちに家督を継ぎ、毛利家当主として来るべき戦に備えると亡き殿(幸松丸)の御前に誓ってくれ、毛利の直系は元就殿しかいないと言います。
広良が広俊に「この大変な時に、元就殿をともに支えていって下されますな」と言うと広俊は切った髷を見ながら「早まってしもうた」と言い、出家を思い留まってくれます。
雪(亡き興元の正室で幸松丸の母)も元就に「幼き殿のご無念を晴らすためにも、ただちに毛利家当主になって下され」と言います。
これを見て雪は元就の異母弟の相合(あいおう)元綱より元就のほうが当主に相応しいと思っているのが分かりました。
相合(元就の亡き父、広元の側室)の館に尼子家重臣の宇山久兼(ひさかね)がやって来て、尼子家から尼子国久(経久の次男)の次男、豊久(経久の孫)を元綱の養子に迎えないかと言います。
久兼は経久は元綱を誰よりも買っておられると言い相合は「ありがたき幸せにござります」と言いますが、これはどう見てもお世辞なのを気づかないものかと思いました。
さらに久兼は尼子から形だけの養子を迎え実際に毛利を動かすのは元綱、重臣の桂広澄(ひろずみ)、重臣の渡辺勝(すぐる)だと言いますが実際には経久に良いように利用されるのではと思いました。
久兼が帰った後広澄は庭で弓矢を持って佇んでいる勝に声を掛けます。
勝はお家の行く末、家督争い、天下など、政(まつりごと)は闇で自身の性には合わないと言います。
広澄は「闇というものは、必ず明ける。むしろ我々は、闇を明けさせるために力を尽くしておる」と言いますが勝は経久の政に取り入れられるのは本意ではないと言い、養子を迎えるのに賛成するのを餞別として広澄と手を切ります。
尼子から養子の話が持ちかけられたことについて郡山城で評定(ひょうじょう)が開かれ、雪は元就という人がいながらなぜ他家から養子を迎える必要があるのだと怒ります。
広良は養子など迎えては尼子の意のままに操られると言い、まさにそのとおりだと思いました。
広俊も養子などいらないと突っぱねなされと元就に言います。
しかし元就はそう容易くはいかないと言い、元綱、広澄、勝は養子に賛成なのだなと尋ねます。
広澄は元就殿では困るというわけでは決してないが、今尼子に逆らうのは何よりも恐ろしいことで、近隣の国人衆は皆尼子に付いているため皆を敵に回すことになると言います。
元就もそれを思うと自身が容易くは家督を引き受けられないと言い、まだ態度を決めていない重臣の井上元兼は別として雪、広良、広俊は自身に家督を継げと言っているため家中が真っ二つだと言います。
「かような時こそ、皆が心を同じゅうせねばならぬ。わしが家督を継いでも、養子を迎えても、皆の気持ちは二つに割れる。わしはそれが恐ろしゅうてならぬのじゃ」
元就が家中の団結を重視しているのがよく分かる言葉でした。
尼子から10日以内に返事をするように言われているため最終的にどうするかは7日後の評定で決めることになります。
そしてこの評定で広良が病気で倒れます。
猿掛城に戻った元就は物凄くやる気のない声で美伊(みい)に「あー、どうしてよいか分からぬ」と言い、評定でのしっかりした声との差が面白かったです。
美伊は「じれったい!いつまでそうやってしおしおと同じことをぼやいておられますのじゃ」と言い、「殿が当主におなり下され。殿から千代寿丸(ちよじゅまる)へと家督を譲り渡すが道理。以上にござります」と言い話を終わらせようとしていてさすが美伊だと思いました。
元就が経久に逆らえば恐ろしいことになると言うと美伊は「尼子の叔父上はもう年ですゆえ、そのうち死にましょう」と言います。
さらに元就が家臣の分裂は目に見えていると言うと「養子でも殿でも、どっちみち分裂するなら、殿が家督を継ぐ!考えるほどのことではござりませぬ!」と言い、これも美伊らしいと思いました。
元就が「美伊は短気で強い女子じゃ」と言うと「はい、腰の引けてる夫を持つと女は限りなく短気に、強うなりまする!」と言っていてこの掛け合いは面白かったです。
しかし元就は母は違ってもたった一人の弟だから元綱と敵になりたくはないと言い養子を迎える方に考えが傾きます。
井上元兼は自身の家臣達にこの家督争いはどう考えても元就の負けで養子が入ってくると言います。
家臣が「いかがされます。今さら桂達にすり寄るというわけには」と言うと元兼は「すり寄る。強い方に付くことは恥ずかしいことではない」と言い、この変わり身の早さは凄いなと思いました。
「男は二枚も三枚も舌を持ち、それを悟られずにいかに渡り歩くかじゃ」と言い、さらに「ゆえに、土壇場で元就が勝ちそうになったらすぐに元就に付く」と言いやはり曲者だと思いました。
評定の3日前、元就は元綱を呼び二人で話し合い、元就が養子を迎えることに決めたと言うと元綱は驚きます。
元就は「わしはな、所詮当主の器ではない。されどな、尼子の好きにされては先祖に申し訳がない。養子を迎えて尼子の顔を立て、実は、兄弟二人で毛利を動かすのが一番じゃ」と思いを語ります。
元綱は自身が恥ずかしいと言い、心のどこかでいつも兄上と張り合っていた、兄上は正室の子で自身は側室の子という思いからか、兄上には負けたくないと思っていたと心の内を語ります。
「家のためとあらば当主の座にもこだわらぬ兄上に、元綱、心が洗われる思いにござりまする」と感動します。
評定の前夜、病気で倒れていたはずの広良が元就の前に現れ、元就が体は大丈夫なのかと聞くと「仮病にござる」と言います。
元就が養子を迎えることにしたと言うと広良は元就に家督を継いでもらいたいと言い、何と広良は仮病を使っている間に室町幕府とつなぎを付け、「元就の家督を認める」と書いた御内書(ごないしょ)を貰っていました。
当時室町幕府の力は弱まっていましたがそれでも幕府のお墨付きの威力は絶大です。
広良は「毛利元就こそ、名将の器。何人たりとも、代わりにはなりません」と言い、この場面は音楽も素晴らしくて胸が高鳴りました
元就が「わしはな、わしは、元綱と心を合わせて進みたいのじゃ。小さい頃より、身寄りのなかったわしが、たった一人の弟と心を一つにする嬉しさ、分かるか?」と聞くと広良は「よお、分かりまする。されど、毛利を救うのは、元就殿しかおらん。元綱殿では、毛利は滅びます」と言い、元就は悲しいながらも覚悟を決めた表情をしていました。
迎えた評定当日、元就は「わしが家督を継ぐことに致す」と言い元綱は驚愕して「お待ち下され!」と言います。
すると広良が「幕府のお墨付きじゃ」と言い御内書を見せ、元就が毛利本家の郡山城に迎えられることが決まります。
「毛利家当主、毛利元就の誕生です」というナレーションがとても印象的でした。
相合元綱(画像はネットより)
しかし元綱が憎しみに満ちた表情で元就を見ていたのも印象的でした。
その夜元就は「元綱は力を貸してくれるじゃろうか。たった一人の弟を裏切った兄ゆえ、いかが致したらよいか。どうしてよいか分からぬ」と心を痛めていました。
今回は広良が元就に家督を継ぐように説得した時の場面が圧倒的に良かったです。
「毛利元就こそ、名将の器」の言葉とともに一気に音楽がドラマチックになり胸が高鳴り、元就こそ当主に相応しいという思いが強く湧きました。
しかし土壇場で元綱を騙すことになったために元綱の元就への憎しみは凄まじいものになりいよいよ兄弟の激突の時が迫ります。
静かに決着を見届けたいと思います。
各回の感想記事
第一回 妻たちの言い分
第二回 若君ご乱心
第三回 城主失格
第四回 女の器量
第五回 謀略の城
第六回 恋ごころ
第七回 われ敵前逃亡す
第八回 出来すぎた嫁
第九回 さらば兄上
第十回 初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ