(全演目終了後の挨拶にて。左から讃井万由子さん(ピアノ)、井伏晏佳さん(ピアノ)、北門華音さん(ソプラノ)。)
12月12日、広島県広島市のJMSアステールプラザで行われた「広島プロミシングコンサート」を聴きに行きました。
このコンサートは今年6月に開催された「広島市新人演奏会」優秀演奏者の讃井(さない)万由子さん、井伏晏佳(はるか)さん、北門華音(かのん)さんが主役のコンサートです。
「有望な若い音楽家のための演奏会(Concert for Promising Young Musicians)」から広島プロミシングコンサートという名前になっていて、今年で36回目を迎え出演者は「広島交響楽団」と共演します。
讃井万由子さん、井伏晏佳さん、北門華音さんの順に登場し、物凄い演奏、歌唱を見せてくれました
プログラムは次のとおりです。
指揮 :鈴木織衛
管弦楽:広島交響楽団
讃井万由子(エリザベト音楽大学出身)
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 Op.26
第1楽章:アンダンテ―アレグロ
第2楽章:アンダンティーノ
第3楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ
~休憩10分~
井伏晏佳(東京音楽大学出身)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 二短調 Op.30
第1楽章:アレグロ・マ・ノン・タント
第2楽章:インテルメッツォ アダージョ
第3楽章:フィナーレ アラ・ブレーヴェ
~休憩10分~
北門華音(国立音楽大学出身)
モーツァルト:歌劇「魔笛」より 愛の喜びは露と消え
プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」より この柔らかなレースの中で
プッチーニ:歌劇「修道女アンジェリカ」より 母もなしに
(演奏の直前、ピアノの前に座る讃井万由子さん)
『本日はお忙しい中、演奏会にお越しいただきありがとうございます。
大好きなプロコフィエフのコンチェルトを広島交響楽団の皆様と共演させて頂けることを大変嬉しく思います。
この曲は、美しい叙情性や素朴さのあるフレーズ、不協和音の自然な響き、激しく快活な部分などが見事に融合した作品となっています。
第3楽章の冒頭主題はプロコフィエフが日本滞在中に聴いた長唄「越後獅子」に由来すると言われています。
今日は、これまで支えていただいた多くの方々に感謝し、精一杯演奏させていただきます。』
私が11月7日、「ROJIのおと」というステージで「エリザベト音楽大学 院生アンサンブル「ライツェント・グランツ」」の演奏を聴いた体験はこの日につながりました。
電子ピアノでの演奏を聴き、ぜひグランドピアノでの演奏も聴いてみたくなりました
第一楽章は凄くワクワクする始まりで、ピアノのスピードの速さが印象的でした
ピアノとヴァイオリン属の楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)の同時演奏が目立ちます。
さらにパーカッションのカスタネットのような楽器の音も目立ち、これまでに聴いたコンサートではあまり聴かない音だったので興味深かったです。
ピアノとオーケストラの音が上下に行ったり来たりして、そのリズミカルさが良かったです。
迫力を感じる場面もありました。
ピアノが少しの間演奏を止め、オーケストラがゆったりとした演奏になります。
ピアノが始まり、こちらもゆったり穏やかでした。
ピアノにヴァイオリン属の楽器が寄り添い少し不穏な音色になります。
ピアノは一音ごとの間隔を短めにして流れるように演奏していました。
ピアノのスピードが凄く速くなり、ヴァイオリン達も凄く速いスピードで演奏して盛り上がります
ピアノの演奏が物凄い迫力で鬼気迫っていました。
力強く演奏が続き、音も上下に行ったり来たりします。
最後も物凄い速さで演奏して弾けるように終わりました。
第二楽章はフルートを中心に森の中を歩いているような雰囲気で始まります。
ピアノが独奏をし、高音中心で穏やかでした。
やがてオーケストラも演奏を始めます。
一気にオーケストラ全体のスピードが上がり、ピアノは物凄い速さで演奏します。
全体がバンッ!と弾けた後、ピアノが力強く演奏します。
ピアノがほんの少しの間独奏をし、そこにホルンが加わります。
ヴァイオリンが静かにゆったりとした音を出し、ピアノは穏やかな演奏をします。
ピアノが力強くはっきりとした演奏をします。
ヴァイオリン属の楽器が寄り添い、トランペット系の楽器が誇り高い雰囲気の音を出していました。
やがてピアノが凄い速さでタタタタタータータータータン!というメロディを音階を少しずつ変えながら何度も演奏していてこれが凄く良かったです
最後はチェロやヴィオラを中心にしたゆっくりした演奏の後、ピアノがこれまでの凄い演奏に幕を下ろすかのように短く静かな演奏をして終わりました。
第三楽章はチェロのピッチカートを中心に始まり、すぐにピアノも続きました。
チェロの他のヴァイオリン属の楽器も続きます。
ピアノの演奏と同じ音を、ヴァイオリン属の楽器が続けて出して呼応していたのが良かったです。
ピアノは凄く力強く、音にも演奏の雰囲気にも引き込まれました
ピアノがゆっくりになりコントラバスと共鳴します。
フルート達が安らぐ演奏をし、ヴァイオリン属の楽器も安らぐ演奏で続きます。
ピアノの独奏になり、高い音でスピードは穏やかでした。
ピアノとフルートとオーボエが共鳴します。
ピアノとチェロとコントラバスが共鳴し、この時ピアノは高音、低音、高音と音階を変えながら速く演奏し、チェロ、コントラバスはゆったりとした演奏をしていました。
ヴァイオリンも登場し、ヴァイオリンもゆったりとした演奏をしていてピアノの短い音との対比になっていました。
ピアノは第一、第二、第三楽章ともに短めの音が中心で、それを強弱をつけたりして奥行きのある演奏をしていました。
一気に演奏が力強くなり、オーケストラ全体が高い音でドラマチックでした。
ピアノの弾き方が凄く、見た目は撫でているように見えるのに出てくる音は力強い場面がありました。
鬼気迫る雰囲気にもなり、手に篭る力が凄まじかったです。
(演奏後、挨拶をする讃井万由子さん)
最後はピアノもオーケストラも力強く凄く盛り上がって終わります。
高い音が続き、ピアノの力強さが神がかっていました
演奏に引き込まれ、涙腺が緩みそうになりました。
初めて演奏を聴いた時、きっとグランドピアノを弾く時にさらなる本領を発揮すると思いましたが、この日聴いた演奏は凄すぎてこれが讃井万由子さんの真の姿だと衝撃を受けました
演奏が終わった時、思わず「すげー!」と声が漏れ、力一杯拍手をしました
広島交響楽団。
プロのオーケストラです。
(演奏の直前、ピアノの前に座る井伏晏佳さん)
『この作品は初演後、長さと技術的困難さから一時留保され、演奏するピアニストも希少でした。
しかしマーラーやホロヴィッツが「傑作だ」「私の曲」と呼び愛奏し、現在では2番と並び多くの人に愛されています。
静謐でロマンな雰囲気の中に激情が秘められた第1楽章、オーボエで提示される憂鬱であり美しい旋律を中心に進められる神秘的な第2楽章、ここまでの抑制された雰囲気を振り払う、力強く決然とした第3楽章にて豪壮華麗なクライマックスを迎え締めくくります。
広島交響楽団の皆様と共演させていただく幸せを噛み締め、全ての方々に心からの感謝を込めて演奏致します。』
ラフマニノフのピアノ協奏曲は第2番がフィギュアスケートの浅田真央さんのソチオリンピックフリーの曲でもあり私にとって馴染み深いです。
第3番がどんな曲なのか興味深く聴きました。
第一楽章は少しもの悲しい始まりでした。
ピアノは高い音を普通の速さで弾き、ヴァイオリン属の楽器は小刻み音を静かに出して寄り添っていました。
ピアノが流れるような演奏になりスピードも速くなります。
高い音中心のかなり速い演奏が続きます。
ピアノが演奏をやめてオーケストラがゆったり演奏をします。
ヴァイオリン属の楽器が演奏し、ピアノもその演奏の後に同じ音を出して呼応する場面がありました。
ピアノが力強くなり、一音の演奏を短くした状態でゆっくり目に演奏します。
同じメロディを奏でながらピアノの音がどんどん高くなっていくのが良かったです
ピアノが少しの間低い音を力強く演奏します。
すぐに高い音になり、また低い音になり、また高い音になります。
この間、ヴァイオリン属の楽器が小刻み音で寄り添い、音階が上下に行ったり来たりするダイナミックさに奥行きも加わる場面がありました。
演奏がどんどん盛り上がり、ピアノの迫力に引き込まれました
少しゆったり目の演奏になります。
しかしピアノにはゆったりさの中にスピードも感じて不思議な感覚でした。
チェロ勢が不穏な演奏をしピアノも共鳴します。
ピアノが独奏をし、凄く神がかった迫力で力強かったです。
今回のコンサートでは讃井万由子さんも井伏晏佳さんも気迫が凄まじくてこれがピアニストの本気かと衝撃的でした。
やがてピアノの独奏にフルートも加わり、ピアノは静かな演奏になります。
同じメロディでオーボエとホルンも交代で順番に演奏に加わります。
ピアノの独奏になり、最初は静か目の演奏で、やがて躍動感のある演奏になり一番高い音まで上がっていきます。
ピアノがゆったりとした演奏になり、ヴァイオリン属の楽器がとても静かな音で寄り添っていました。
ピアノがゆったりきらびやかな演奏をして第一楽章が終わります。
第二楽章はオーケストラの寂しげな演奏で始まります。
ヴァイオリンの高い音が寂しげで目立ち、ヴァイオリン属の楽器の寂し気な音色が目立つ演奏が続きます。
ピアノが登場し、高い音から低い音まで力強く演奏していました。
やがてとてもゆったりした優しげな演奏になり、高音中心で穏やかでした。
ヴァイオリン属の楽器が静かに寄り添います。
ピアノが高い音を優しく指を添えるようにして出していた雰囲気が良かったです
ピアノが力強くなりオーケストラも共鳴します。
とてもドラマチックな演奏で凄く引き込まれました
ピアノの演奏が一気に速く力強くもなり、ヴァイオリン属の楽器が共鳴します。
ピアノが演奏をやめ、ホルンなどの管楽器が目立ちゆったりとした演奏をします。
ヴァイオリン属の楽器が迫力と優雅さを合わせ持った演奏をしていて聴き入りました。
またこの曲では海辺に優しく寄せる波のようなメロディが何度も登場し、そのメロディが凄く良いと思います
第二楽章と第三楽章は切れ目がなかったですが、曲の解説を見るとこの辺りで第三楽章になったのではと思います。
ピアノの演奏が始まり、凄い速さでポロロロロと演奏していて凄まじい速さに驚きました。
ヴァイオリン属の寄り添い方も速さと迫力を合わせ持っていて凄かったです。
ピアノは短めの音をドラマチックに迫力も伴って演奏し、ピアノとオーケストラが共鳴しての盛り上がりが凄かったです
オーケストラだけになりゆったりとした演奏をします。
ピアノの演奏が始まり、凄い速さを撫でるかのように弾いていました。
ピアノとフルートが中心になる場面、そしてピアノとトランペットが中心になる場面がありました。
ピアノがとてもゆったりとして安らぐ演奏をし、演奏をやめるとヴァイオリン属の楽器が小刻み音で演奏をし、迫力のある演奏もします。
ピアノの演奏が始まり盛り上がりが凄かったです。
ピアノは速さが凄まじく、オーケストラもダイナミックに寄り添います。
ピアノが一気に力強くなり、オーケストラの盛り上がりも最高潮になります。
凄く大きな音と速いスピードでドラマチックな演奏をし、ピアノもオーケストラも圧倒的な迫力で終わりを迎えました
(演奏後、挨拶をする井伏晏佳さん)
この曲も演奏後に思わず「すげー!」と声が漏れました。
声を上げずにはいられず、笑みもこぼれ、力一杯の拍手を送りました
(歌唱後、挨拶をする北門華音さん)
『この度は私の故郷で広島交響楽団の皆様と共演させて頂けることを大変嬉しく思います。
今回演奏させて頂くこの3曲には「愛」という共通点があります。
1曲目は「愛しい彼に対する愛」、2曲目は「息子に対する母の愛」、そして3曲目は「過去の愛」です。
パミーナ、アンジェリカ、マノン…彼女達のそれぞれの愛をモーツァルトとプッチーニが作り出した素晴らしい音楽に乗せて表現したいと思います。
大好きな私の故郷である広島で歌えることの喜び、そして何よりも、お世話になりました先生方や友人、家族の前でこのような素晴らしい舞台で歌えることに幸せを感じながら、ご来場頂きました皆様へ心を込めて演奏させて頂きます。』
1曲目 モーツァルト:歌劇「魔笛」より 愛の喜びは露と消え
凄く高い歌声で始まりました。
オーケストラは静かに演奏して寄り添っていて、歌を引き立たせる演奏をしていました。
ソプラノ歌手なので高い音で歌う人ではありますが、とてつもなく高い音まで上がっていてその高さが凄かったです
マイクを使っていないのによく響く声でした
2曲目 歌劇「マノン・レスコー」より この柔らかなレースの中で
チェロの不気味な演奏で始まります。
すぐに高い音の歌声も始まり、一気に力強くなります。
ソプラノの凄く高い音にヴァイオリンが寄り添った場面はアルプスの高原を水が流れるような優しくきらびやかな雰囲気を感じました。
3曲目 プッチーニ:歌劇「修道女アンジェリカ」より 母もなしに
ゆったりとした悲しげな歌声で始まります。
ヴァイオリン属が悲しげに寄り添い、特にヴァイオリンの悲しそうな音色が目立っていました。
かなり高い音で力強く歌うようになります。
ドラマチックな場面があり、ゆったりな雰囲気の中に激しさも感じました。
一気に強く高い音で歌った後、最後はまたゆったりとして少し悲しげに終わりました。
(一度引き上げた後、鳴り止まない拍手で再び戻ってきた時の北門華音さん)
どの曲も外国の言葉で歌われていて歌詞は分かりませんが、歌が上手いので聴き入りました
もし私がそれぞれの曲の登場する歌劇を見たら曲から感じ取ることもさらに増えていくと思います。
全演目終了後の挨拶にて。
三人に盛大な拍手が送られました
讃井万由子さんも井伏晏佳さんも北門華音さんも素晴らしい音楽家だと思います。
ぜひ三人ともこれからどんどん活躍していってほしいと思いました
広島プロミシングコンサート、素晴らしいコンサートですっかり聴き入りました。
出演する若い音楽家にとっても大ホールで自身の思い入れのある曲を演奏できるのは素晴らしい経験になると思います。
平日開催でしたが私はこのコンサートを聴いたおかげで気持ちを明るくすることができました。
またどこかで三人の演奏を聴けたら良いなと思います
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演奏者プロフィール
讃井万由子 エリザベト音楽大学音楽学部演奏学科鍵盤楽器専攻卒業
2005年 第22回中国ユース音楽コンクール 最優秀賞
2010年 ヤマハヤングピアニストコンサート西中国地区推薦演奏会 銀賞
2014年 広島県立安芸府中高等学校卒業
エリザベト音楽大学に特別奨学生として入学
第16回ショパン国際ピアノコンクールin Asia 全国大会入選
2015年 第17回ショパン国際ピアノコンクールin Asia 全国大会入選
2016年 第26回日本クラシック音楽コンクール 第5位
2018年 エリザベト音楽大学を首席で卒業、卒業演奏会出演
ESpoir新人演奏会出演
広島市新人演奏会優秀演奏者
現在、エリザベト音楽大学大学院修士課程に在学中
ピアノを、濱本恵康、原田敦子、前川正枝、柴田美穂、横山幸雄に師事
井伏晏佳 東京音楽大学器楽専攻(ピアノ演奏家コース)卒業
2014年 広島なぎさ高等学校卒業
東京音楽大学器楽専攻(ピアノ演奏家コース)に給費入学奨学生として入学し、特待奨学生として在学
2015年 第2回刈谷国際音楽コンクールグランプリ並びに刈谷市長賞受賞
第23回ヤングアーチストピアノコンクール ピアノ独奏部門Fグループ金賞
2016年 カワイ音楽振興会主催《東京音楽大学表参道サロンコンサート》にてジョイントリサイタル開催
ベーゼンドルファー東京主催ランチタイムコンサート出演
第31回国民文化祭・あいち2016において、刈谷市総合文化センター管弦楽団と共演
ピアノ演奏家コース成績優秀者による東京音楽大学ピアノ演奏会出演
短期留学奨学生としてドイツ・ハノーファー音楽演劇メディア大学に留学
2017年 広島サマーコンサート推薦によりカワイ広島にてソロリサイタル開催
2018年 東京音楽大学卒業演奏会出演
広島市新人演奏会優秀演奏者
現在、東京音楽大学大学院音楽研究科修士課程鍵盤楽器研究領域に在学中
これまでに立花恵美子、鈴木英子、松本和将、倉沢仁子、ガーボル・ファルカシュ
各氏の指導を経て、現在ピアノを播本枝未子、石井理恵の両氏に師事
北門華音 国立音楽大学卒業
2014年 広島音楽高等学校卒業
国立音楽大学演奏・創作学科声楽専修入学
2017年 国立音楽大学ソロ・室内楽定期演奏会出演
2018年 国立音楽大学卒業演奏会出演
広島市新人演奏会優秀演奏者
現在、国立音楽大学大学院音楽研究科修士課程声楽専攻オペラコースに在学中
声楽を梅川美和、大倉由紀枝の各氏に師事
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