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「「つい悩んでしまう」がなくなるコツ」石原加受子

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今回ご紹介するのは「「つい悩んでしまう」がなくなるコツ」(著:石原加受子)です。

-----内容-----
ほんとうは私、どうしたいの?
もっと「自分の気持ち」を優先していいんです。
ムリしない、ガマンしない、周りを気にしすぎない!
人間関係も人生の選択もうまくいく一番シンプルな方法。
悩みスパイラルから抜け出す!「自分中心」心理学。

-----感想-----
石原加受子さんの本は2015年末に『「どうして私ばっかり……」と思ったとき読む本』を読んで以来2冊目となります。
軽いタッチの文章で気軽に書かれているので読みやすかったのを覚えています。

P21「相手にばかり囚われていたら、決して悩みは解決しない。」
『「どうして私ばっかり……」と思ったとき読む本』を読んだ時はまだアドラー心理学の本を読んでいなかったので気づきませんでしたが、この考えはアドラー心理学と似ていると思いました。
石原加受子さんはアドラー心理学を土台とする心理カウンセラーかも知れないと思いました。

P24「心の中で不満を抱きながらも、黙って相手に従ってしまう。」
この心のクセが悩みにつながっているとのことです。
たしかにこれでは心がモヤモヤとし、すっきりしない状態になると思います。

P26「自分中心心理学」
石原加受子さんは自分中心心理学を提唱しています。
これは考え方を見ていくとアドラー心理学の流れを汲んでいるように見えます。

P28「相手に変わるように求めるよりも、自分のために、自分を育てるほうが、悩みを解消する早道。」
「これが”自分中心”の発想」とありました。
やはりこの考え方はアドラー心理学をベースにしているなと思いました。
アドラー心理学でも「相手を変えようとしても無理なので、自分が変わるほうがよっぽど良い」としています。

P32「感情レベルで納得しているか」
「自分の気持ちや感情を脇に追いやったままで、適切な判断をすることはできません。なぜなら、あなたの”感情”がそれに抵抗するからです。」とあり、これはそのとおりだと思います。
間違いなく気持ちがもやもやとしてストレスが溜まっていく原因です。
そして「そんなことを言っても社会人なら感情が納得しなくても動かないといけない!」と条件反射的に食って掛かるようだと、だいぶ気持ちの余裕がなくなっているのだと思います。
この場合、納得がいかない状況下でただ黙ってストレスを溜め込むのではなく、何か自身のうんざりさを分かってほしいという言葉を出し(暴言ではなく)、「納得がいかない中で、ある程度気持ちに折り合いをつける」のが焦点になるのではと思います。

P41「悩みが消えたら」
石原加受子さんは時折相談者の方に「悩みが消えたら、あなたはどうなると思いますか?」と尋ねるとのことです。
この尋ね方はアルフレッド・アドラーがよくやっていた尋ね方で、このページを読む頃には「石原加受子さんはやはりアドラー心理学を土台にした考え方をしているな」と思うようになりました。

P49「自分中心心理学では、悩みは「私を愛し足りない」という、無意識からのメッセージと考える。」
「とても深く悩んでいる人は、それだけ、自分を愛してこなかったということ」ともありました。
これは自分の心の声に関心を持ってこなかったとも言えるのではと思います。
「納得いかない」「辛い」などの心の声を無視して走り続けていればやがては限界が来ます。

P61「「私」が心地よい生き方を選ぶ」
「他者中心の生き方は自分を苦しくさせる。自分中心の生き方は自分を楽にさせる。」とありました。
誰しも自分の人生を生きているのであって他者の人生を生きているわけではないので、当然自分中心の生き方のほうが良いです。
ただしアドラー心理学と同じく単に自分勝手に振る舞えば良いという間違った解釈にならないように注意が必要です。

P79「「もう、昔のことは、水に流して」などと言いますが、記憶そのものを消すことはできません。思い出せば、やっぱり、胸が痛むでしょう。」
さらに「「それを思い出すたびに、感情の波の幅が小さくなっていったり、痛みに打ちひしがれる時間が短くなっていく……」というように、次第に癒されていく自分を発見することができるでしょう。」ともありました。
これは以前書いた「記憶との付き合い」という記事で似たことを書いたことがあります。
嫌な出来事を完全に頭の中から消すことはできませんが、段々と揺れ幅は少なくなっていきます。

P84「この怒りは、どこからくるのだろう。何がつらいんだろう。どうすれば、私のこの感情を、解放することができるだろうか」
自分の心に目を向け、自分の気持ちを知るのは大切です。
これは近年の私が元々意識していることです。
モヤモヤしている時は自分の気持ちを認識できていない場合が多いです。

P112「「でも」ばかり言う人」
私も「でも」を連発する人に良い印象は持たないです。
他の言葉のほうが良く、この本では「じゃあ」「まず」のほうが良くないかとあり、たしかにそれらの言葉のほうが良いと思います。

P127「過去でも未来でもなく、今を生きる。」
「得たものを失う恐れ」を抱いている人は、いわば「未来の不安」の中に生きているとのことです。
また、他者中心に生きて自分を傷つけ、「過去の傷み」の中に生きている人もいるとのことです。
そして両者に共通して足りないのは「いまを生きる」ということとありました。
この「過去でも未来でもなく、今を生きる。」もアドラー心理学に出てきます。
気持ちが過去や未来にばかり行っていると現在が疎かになってしまいますし、過去の悔やまれることや未来への不安が出てきた時こそ、現在にしっかりと足を着けることを意識していきたいです。

P160「マイナス関係を結ぼうとしている人の見抜き方」
相手が難癖を付けたり否定したり、こちらの言葉を覆そうとしたり足を引っ張ろうとしたりする場合、その人は問題解決することよりも、こちらとマイナス関係を結びたいと望んでいるとのことです。
そういう人の見抜き方として、「話していると、イライラしてくる。腹が立つ。またかと思って、うんざりする。話した後で、ぐったりと疲れてしまう。もう二度と、話したくないような気分になる」というように、こちらが耳をふさぎたい気持ちになるとしたら、その人はマイナス関係を結ぼうとしていると見てまず間違いないとありました。
そのような人とは極力関わらないようにし、話さないといけない場合は相手のマイナスの会話に引きずり込まれる前に切り上げるのが良いと思います。

P166「自己主張は「相手を言い負かす」が目的ではない」
自分中心心理学では、自己主張は相手に言葉で争って勝つのが目的ではなく、「私を愛するために、私を解放するために、表現する」としているとのことです。
そして「すべて自分のためなので、表現すればするほど、「私自身が、ラクに、幸せに」なります。自己主張というよりも「自己表現」」とありました。
この自己主張の考え方は良いと思います。
相手を言い負かそう、言い負かそうとムキになっている時点で既に他者中心になっているので、常に「自分自身が楽に、幸せに」を意識していきたいです。

P173「引きずらないで相手に「聞く」」
相手に関係するもので心の中にあるものを、押し込んでおくのではなくそのまま言葉にして相手に聞いたほうが良いとのことです。
「あなたの悩みは、”聞く”ことで、一瞬にして、消えてしまうでしょう。」とありました。
これは聞くことによって、少なくとも心の中でずっと気になったままでいる状態よりは断然良いということだと思います。
ただし物事によっては聞かないほうが良い場合もあるので、そこはよく見極める必要があると思います。


この本も『「どうして私ばっかり……」と思ったとき読む本』と同じく専門的な言葉は使わずに分かりやすく書かれていました。
石村紗貴子さんという方のイラストもシンプルでいながら場面を分かりやすく描いていて、内容を理解するのに役立ちました。
気軽に読めるのが石原加受子さんの本の良いところだなと思うので、また興味を惹く本があれば気軽に読んでみたいと思います。


アドラー心理学の本の感想記事
「マンガでやさしくわかるアドラー心理学 人間関係編」岩井俊憲
「嫌われる勇気」岸見一郎 古賀史健
「幸せになる勇気」岸見一郎 古賀史健
「面白くてよくわかる!アドラー心理学」星一郎
「高校生のためのアドラー心理学入門」岸見一郎

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